予測困難な時代の中で | 2012.06.04 |
かつて、日本は強かった。
だが、ダーウィンの進化論にあるように、強いものだけが生き残れるわけではない。
変化できる者だけが生き残る。
日本経済、社会が変化しながら生き抜く、その答えは一人では作られない。皆の知恵を集
めなければならない。知恵の擦りあわせの中で答えが生み出されれば、個人や企業に新た
な展開が開けてくる。
かつての日本は自らを変えることで、新しい時代を切り開いた。
例えば、1970年代の石油ショックの際、日本は世界のどの国よりも石油ショックに対
応し、自らの変化を成し遂げた。円高不況に陥った時も、日本企業はリストラと経営革新
を自らに課して足腰を鍛え、国際競争力を高めることで円高に対する耐性を鎧のように身
につけていった。
今から思えば、あのころの日本は圧倒的な危機感があった。そして、成長期の日本はフ
ァインディングスピリットがあったからこそ国民が危機感を共存できた。また、それが変
化の原動力になっていたかと思う。
今の日本はあまりにも危機感が乏しく感じられる。
危機感として感知する知性も、危機に立ち向かうための必要な情熱も体力も、今の日本は
衰えてしまったように見える。危機という言葉が飛び交う今日、最大の危機とは自国の危
機さえも感知できず、自らのエネルギーを燃え上がらせるような情熱・力の欠損、衰えな
のではないだろうか。
個別最適にしか関心がないナショナリズムがはびこり、「その道一筋」の専門家ばかりが
増えるいっぽうで、全体の事が見えなくなっている。
過去の延長線上でしか物事を発想できない今の日本。
一時はうまくいったが、今では全く時代にそぐわなくなったやり方、枠組みをゼロベース
で見直すことが出来ない。大局観を持たず、成功体験にすがって前例を踏襲し続けてい
る。そんな、今の日本に必要なのは、過去からの決別と感じている。しかし、いきなりす
べてを変革するのではなく、一つ一つステップを踏みながら小さな成功を積み重ねる。そ
れが、予測困難な時代を生き抜く最適な術だと考える。